ブルックナー音盤日記

録音データは https://www.abruckner.com/discography1/ にお世話になってます

交響曲第7番ホ長調 フランツ・ウェルザー=メスト指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

 

Symphonies 5 & 7

1885 Version. Ed.Leopold Nowak [1954]

Franz Welser-Moest, London Philharmonic Orchestra. 27/8/91

60:49 - 19:49 20:24 8:58 11:37

EMI CLASSICS CMS5209432

 

CDのジャケ写で見ると少女漫画に出てくる指揮者の実写版のような容姿のウェルザー=メスト

テンシュテットの後任でロンドン・フィルの首席指揮者、ドホナーニの後任でクリーブランド管の音楽監督と、アングロサクソン圏ばかりで稼いでる人のイメージがあったが、ネットで調べるとチューリッヒ歌劇場、ウィーン国立歌劇場音楽監督も務めている。

超エリートなのだ。

 

たぶん容姿のせいばかりではないと思うが、CDは少なめでDVD/BDなど映像商品の方が多い(オペラ指揮者だからというのはあるだろう)。

わたしが持っているのはこの2枚組(ブルックナー第5交響曲とのカップリング)のCDだけだ。

 

ロイヤル・アルバート・ホールでのライブ録音。

速めのテンポ(第2楽章まではほぼ中庸で気持ち速め、3楽章以降はかなり速い)。

オーケストラ全体の大づかみな流れは、抑えるところは抑え盛り上げるところはきっちり盛り上げる、ツボを心得た絶妙のコントロールぶり。

しかも、さすがエリート指揮者、それにとどまらず同時に個々の声部のフレーズに表情を付け、大きな流れへの奉仕に還元されない細部の多様性を掘り起こそうとする。

 

ただ、個人的にはそれが小うるさく感じられて、ブルックナーはもっと鷹揚にやってくれた方がいいのに、などと思ってしまう。

それに、そういう野心的な試みは聴衆を選ぶだろう。

聴き手のキャパが小さければ、細部に気を取られて、いろんな要素が羅列され散漫に流れてゆくだけの、焦点が定まらない演奏に聞こえかねない(あっちでニョロニョロ、こっちでウッフン)。

わたし自身、特に第1楽章でそういう印象を受けた。

 

終楽章は野心を抑えてわかりやすく盛り上げ、ロンドンの聴衆からせっかちで盛大な拍手を獲得している。